2017年9月6日水曜日

スズメバチ(虫毒)とお灸の効果(後編)

スズメバチなどの蜂毒はアミノ酸をベースにした化合物で、人に対して強い生理活性を持っている。その成分は大きく分けてアミン類、低分子ペプチド、酵素毒の3つに区分される。
① アミン類
刺された時に激しい痛みを出すセロトニンやヒスタミンなどのアミン類。スズメバチの毒成分は、他の生物毒に比べセロトニンの量が多い。最も量が多いのがオオスズメバチだが、濃度が高いのはチャイロスズメバチでこれが最も痛い。
その他、肥満細胞に作用しヒスタミンを遊離させる働きや、血圧下降、平滑筋収縮、組織破壊などを引き起こす成分がある。最も痛みを出すのはセロトニンだ。痛みや痒みの原因となる。


②低分子ペプチド 
低分子ペプチドはハチ毒キニン、マストパラン、白血球遊離ペプチドなどで痛み、赤血球破壊、血圧下降、アレルギー症状などを引き起こす。


③ 酵素毒
ハチの酵素毒はホスホリパーゼA、プロテアーゼ、ヒアルウロニダーゼなどを含み、組織障害、アレルギー症状などを引き起こす。
痛みの原因となるアミン類を最も多く含んでいるのがスズメバチ。

だからとても痛い。
本当に痛いです。
何の処置もしなければ1週間はずっとかなり痛みます。


これらのハチ毒は前述したようにアミノ酸をベースにした化合物(いわゆるタンパク質)なので、加熱すると簡単に生理活性が不活性化するの性質を持つ。

加熱(45度以上)するとタンパク質は変性を起こす。タンパク質とはアミノ酸の立体的連なりで、その立体構造の連なり方や折れ曲り方が変化して、その生理的機能は不活性化することを変性といいます。

要するに45度以上の熱を加えると(お湯でよい)痛みを引き起こす毒が無害化されるということです。


だから「灸」をすえる。お灸とは吸え方によって燃焼温度を40〜300度とさせることができる。私が今回使用したお灸は釜屋スモークレスとせんねん灸奇跡レギュラーをどちらも燃焼温度が43〜48度で タンパク質が変性を引き起こすには十分な加熱温度である。

スズメバチの刺された直後の処置である程度吸い出されたことも痛みが抑えられた要因だが、お灸でハチ毒は変性をし毒がキャンセルさせたと考えることもできる。お灸をした後からほとんど痛くなかったのも効果が出たのだろう。
ただし痒みは痛みほど引かなかったのでどのような生理機序が働いたのかはもう少し勉強する必要があります。


どちらにしても「虫毒にはお灸が効く」という昔からの先人の知恵は間違っていなかったようだ。


しかし、やってはいけないこともある。スズメバチなどのハチ毒は全て水溶性なので間違っても口で吸い出してはいけません。唾液に溶けて口から毒が回ってしまいます。これは怖いですね〜。
それと尿(アンモニア)をかけるのも全く効果がないそうです。


カイロプラクティック・鍼灸 たかはら整体所